インタビュー

FFPW会員インタビューvol.1「河原 多恵子さん」

FFPW会員の皆さんの声をお届けするコーナー、記念すべき第1回は、「明日の子どもたちへの贈り物」の代表、河原 多恵子さんです。会員のみなさまにお願いしたアンケートの質問を元にお話を聞きました。

① あなたの思い描く、理想とする地域の未来像を教えてください。

 私達大人が、子ども達の未来、またその子ども達の未来まで考え行動しなければいけない……子ども達の置かれた状況を見つめ、対処療法ではなく、根本から考え、そこから変えていく必要がある……目先の事だけ考えていては未来に繋がらない――。

 そう感じるようになったきっかけは、我が子のアレルギーと、7年間幼稚園教諭として働いていた時に感じていたことが結びついたからです。

 なぜこんなにもアレルギーが増えているのか? なぜ発達障がい・グレーゾーンと言われる子どもが急増しているのか? なぜ癌や不妊症、精神的な病気、認知症が増え続けるのか?

 食べたもので作られている私達の心と体。食べ物を変えることでそれらが変わるのであれば、食べるものを自ら選ぶことが難しい子ども達には、大人がしっかり考えて提供しないといけないと思うようになり、自分の子どもだけではなく、どの子どもたちも食べている「学校給食のオーガニック化」に目を向けるようになりました。

 幼稚園や学校(小学校・中学校・特別支援学校など)の給食に使うオーガニック食材は、出来る限り近郊で調達し、子ども達自身も生産者がわかる仕組みを整える。子ども達と生産者の顔の見える関係をつくることができれば、互いに感謝や思いやりの気持ちが持てるようになり、本当の食育に繋がっていく。親や地域の関心度も高まり、必然的にオーガニックのたいせつさに気付いていく。地域の農家さんも各地域の学校に食材を納めることで一定の収入が確保できる。地域の事業者もオーガニック食材を取り扱う率が上がり、消費者がオーガニック商品を手頃な価格で購入できるようになる。農薬や化学肥料の使用が減ることで、地域の環境を守ることに繋がる。

 学校給食のオーガニック化は、持続可能な未來に大きなメリットをもたらします。そうして、オーガニックが当たり前になることを願っています。

② その未来に向けて、現状で問題点だと思うところは何ですか?

 行政と対話を始めて感じたこととして、今の子ども達の置かれている現状、その根本原因、改善方法について、ご存知ないということでした。なので、私達はいつも、なぜ学校給食のオーガニック化を進めたいのか、というところから話しを始めなければなりません。

 そして、必ず出てくるのが「予算」の問題です。私達が取り入れたいと思う農産物の価格は、給食用の食材より価格が高いことが多いため、「給食費(1食平均250円)で賄うことは難しい」と言われます。子ども達の健康や持続可能な地域の環境は、お金に代えられないと思うのですが……。

 あと、自然栽培・有機栽培に転換できるような、技術的な支援の提供や資金の補助なども増やしてもらいたいと思います。

③ その問題解決のため、あなた自身が取り組んでいることがあれば教えてください。

 (①で述べたような)学校給食のオーガニック化による大きなメリットへの理解を得られるよう、今の子ども達の現状と食を整えることの必要性を伝える機会として、子どもに関わりのある部局をはじめ地元の議員さんたちにアポを取り、月1回ほど話し合う時間を作っています。

 例えば、予算の問題について、私達は、まずは1校、1品でもオーガニック食材を取り入れることができないか、地産オーガニック給食の日を作ってはどうか、など提案し、併せて、食材を供給してもらえそうな農家を探して、配送方法、供給先の学校、予算の範囲、供給できそうな作物の聞き取りをします。この結果を行政側に伝え、予算に関する検討や関連する課との連携など出来ることを示してもらいます。今は、こうした地道な話し合いを進めている段階です。

 個人的な取り組みとしては、学校給食には保護者が関係するため、4年前からPTAに自ら関わり、学校でもこうした話が出来る場を作ってきました。また、より幅広い方々(特に子育て中のママたち)にも知ってもらえる機会として、食や環境、子育てに関するお話し会の開催、オーガニック食材を身近に知ってもらえるよう、「お野菜市」を開いたりもしています。

 2020年には、オーガニック給食に関心のある方たちでグループを作り、行政との話し合いや取り組みの共有、情報交換の場として本格的な活動を始めました。また、子育てママ達とも、今後どのように取り組んで行くかの話し合いを定期的に開催していこうと思っています。

 こうした活動をしていると、色んな方との関わりがどんどん広がっていきます。これからも自分の出来ることを長く続けていけるよう、楽しみながら取り組んでいきたいと思います。

河原さんの活動内容をもっと知りたい、お話を聞いてみたい、いっしょに取り組みたいと思われた方は、Facebookページ「明日の子どもたちへの贈り物」、また、公式LINE「@smv5052u」にアクセスしてみてください。