和歌山市農林水産課主催の講演会『和歌山市の(稲作)有機農業・自然農業の現状及び取組について』
が7月11日に開催されました。(案内はコチラ⇒https://ffpw.net/2025/07/08/fffpw-news_20250708/)

和歌山市内において有機農業・自然農業(特に稲作)に取り組んでおられる農家からのお話を中心に、現状や今後の取り組み等をお聞きしました。今年度は同様の勉強会を3回開催する予定とのことですが、今回は、残念なことに広報期間が短かったせいか、前回(3月24日)と比べて参加者は少なく、定員に達しませんでした。講師および内容は、前回まとめ(https://ffpw.net/2025/04/12/fffpw-news_20250412/)とほぼ同じでした。
市内で有機稲作(JAS有機認証取得済)に取り組んでおられる神谷憲次氏は、「代掻き2回で雑草対策が成功しました」という点を強調されました。これはNPO法人・和歌山有機認証協会が2024年2月23日に開催した『いのち育む有機稲作栽培技術勉強会』(https://woca.jpn.org/w/event2024)の中で、NPO法人 民間稲作研究所の舘野廣幸(たてのひろゆき)氏がお話された、田植え前の準備として代掻きを2回行うという方法を、神谷氏が2年続けて実践された結果の報告です。
昨年は完全には雑草を防ぎきれず、雑草除去作業を2回行ったとのことですが、2年目の今年は今のところ全く生えて来ていません、とのことでした。
代掻き作業のポイントは以下の2点。
- 1回目の代掻きと2回目の間に20日以上開けるのがよい。
- 2回目は5~8㎝の水深(5㎝以上)で機械を高速回転にする。
この水深の違い(慣行栽培では3㎝程度)が雑草を抑え込んだのではないか、というご意見を述べられました。
他のコツは、
- 田植え後初期に深水にするとジャンボタニシが動き回って苗を食い荒らすので、稲の成長に合わせて徐々に深水にする。
- 中干しは、徹底すると土壌の微生物を殺すので、稲を成長から生殖モードへ向かうように促す行為として軽く行う。
とのことです。
同じく市内で自然栽培に取り組んでおられる久保智和氏からは、和歌山市の稲作農業の現状について、県下で一番の稲作地帯である和歌山市で担い手を増やす必要性、環境保全型農業の大切さの提案と共に、過去数年実施されている子ども向けの農業体験や食育教室、大人向けの自然農の体験および勉強会の紹介がありました。
久保氏の自然農のポイントは「圃場が整えば、お米は肥料がなくてもできる」です。
- 代掻きはやや深めで粗く、下の層は粒状で上は泥状になるように。専用ハローを使用した。
- 苗はポットで育て、1本苗で間隔を広く(苗と苗を30㎝開ける)取る。それにより稲全体に光が差し、光合成の効率が上がる。風通しが良くなり病虫害の発生を抑制する。
質疑の時間に和歌山市の下水汚泥の肥料化状況について市に質問しました。農林水産課によりますと、事業としては一旦終了し、令和7年度は行っていないとのことです。
他にも、参加者から実務的な質問が複数寄せられました。
